ウサギは何故ピンクで塗られてしまうのか

2021年8月15日

 街中至る所にある看板、ポスターからウサギを探す。そう、ほぼ大半のウサギはピンクで描かれています。

 ご存知の通り、現実のウサギはピンクではない。だがしかし、ウサギがキャラクター化されて描かれるときは、ピンクがスタンダードカラーとなる。そして、それに対して不思議と違和感を感じないのだ。

 ウサギを飼っていた経験あり。ウサギファン歴10余年。プロウサギストの私が、この問題、まんまと考えてみましょう。

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子どもはなぜウサギをピンクに彩色するのか

 そもそもこの問題、とうに解決していてもおかしくはない。ざっと調べてみる。

 意外と未解決でした。

 一番詳しく言及されていたのがこちらのYahoo!知恵袋

ヒトと動物の関係学会 学会誌2007年12月号
『子どもはなぜウサギをピンクに彩色するのか』

・帝京科学大学アニマルサイエンス学科のグループの研究
・白地の紙に白い絵を書いても映えない
・ディフォルメされたウサギの絵がかわいらしく色をつけさせる
・ウサギのかわいらしいイメージや白い紙の影響が示唆されました
・おもちゃや服のウサギの色が刷り込まれている
・しかし、この研究では、そもそもウサギグッズのウサギがなぜピンク色なのかは触れられていません

Yahoo!知恵袋

 この学会誌、バックナンバーはないものか。ヒトと動物の関係学会のホームページを確認したが、2007年12月号はなかった。こちらの知恵袋のコメントの情報から、読み解いてみよう。

 曰く、白地の紙に白を塗っても映えない。

 そもそも、ウサギだって白いウサギばかりではない。動物園やペットショップへ行けば分かる。茶色や灰色のウサギの方がどちらかと言えば一般的な存在なのだ。いくら白地の紙に白を彩色するのが味気ないとはいえ、唐突にウサギをピンクに彩色するのはいかんせん合点がいかない。白の代役として選ぶには、ピンクは目立ちすぎるのだ。

 ディフォルメされたイラストがかわいらしく彩色させる、とも書いてある。その理由であるなら、緑や青のウサギが描かれてもおかしくない。考えてみよう。かわいらしく描かれたライオンや、かわいらしく描かれた女の子のキャラクターの肌を、あえてピンクで塗るだろうか。

 唐突なピンクは違和感を感じさせる。それはピンクのジャケットで視聴者の度肝を抜いたルパン三世 PART3 が実証している。

 が、しかし、ウサギにピンクはまかり通る。そして我々は、それに違和感を感じていないのだ。

 やはり、何の疑問も抱かずウサギにピンクを彩色するには、何らかのヒント、お手本が存在していると考えるのが自然だ。

ピンクのウサギの存在を意識的に探してみる

 まずは一般常識を疑ってみる。ピンクのウサギは本当に存在しないのか。

 昭和の屋台ではカラーひよこというものが売っていた。さながらデニスロッドマンや志茂田景樹を彷彿とさせる売場であったが、カラーウサギなんてものは見たことがない。

 それではキャラクタービジネスの世界ならどうか。ウサギのキャラクターを見返してみよう。

 ピーターラビットは茶色ですね。

 バッグス・バニーは灰色。

 ミッフィーちゃんは白です。

 マイメロはピンクですが、あれは服だ。

 紙兎ロペは白。

 カナヘイのうさぎはピンクです。かわいい。

 いらすとやのうさぎもピンクが多いですね。

 月野うさぎは黄色です。

 意外と有名キャラでもピンクに彩色されたウサギはそんな多くない。

 少なくともワールドクラスのキャラクターはピンクではない。『ウサギ=ピンク』の認識はグローバル・スタンダードではないことが分かる。

 それでは日本限定の共通認識だと仮定します。

 全国区の有名ウサギでピンク色のものを探す。辛うじて近いのはエスエス製薬のピョンちゃんだろうか。

 エスエス製薬のHPからピョンちゃんの起源を見ていこう。

 元々は赤いちゃんちゃんこを着ていただけである。そのまま赤いイメージカラーが定着し、徐々にデザインがブラッシュアップされていきます。カラーバリエーションとして黄色やピンクもあったようだが、メインのイメージカラーは赤です。

 最終的にピンクになるのは、1997年の9代目から。比較的最近であることが分かる。残念ながらピョンちゃん起源説は却下か。

 ここまでの経緯から、代表となる有名作品が特別存在しているわけではない。

 それでは何故、全国区でピンクのウサギが違和感なく受け入れられたのだろう。

とある仮説を立ててみる

 ここから先はあくまでも個人の仮説になるが、こういうのはどうだろう。

 名付けて『どこかの地方の耳鼻科の看板説』。

 ウサギはそのトレードマークである耳から、耳鼻科のイメージキャラクターに選ばれやすい。耳鼻科の看板にはウサギが描かれていることが多い。

 病院のスタンダード・イメージカラーは白。病院・薬局の看板は、下地に白が選ばれやすい。そして昭和の看護師の制服はピンクが多い。病院における第二のイメージカラーである。さらにピンクが与える心理的効果は、女性的・やさしい、等。

 以上の観点から、白地の看板にウサギのキャラクター。白地の看板に描かれたウサギに白の彩色は味気ないと感じるのは、冒頭で引用した『ヒトと動物の関係学会の学会誌』で論じられている通りである。

 というわけでウサギに何色を彩色するのか。白に次ぐ第二のイメージカラーであり、やさしさを表現するピンクが採用され、看板として街中へ掲示される。

 日常生活の風景として溶け込む耳鼻科の看板。必然的に多くの人の目につく。毎日生活を送る日常風景の一部にピンクのウサギ。長い年月をかけ、世代を超えて、ウサギはピンクというイメージが、広く一般層に定着していく。

 こんな寸法。

 というわけで、『ウサギがピンク色というイメージの起源は、どこかの地方の耳鼻科の看板説』を推したいと思います。

追記

 ここまで一気に書き上げる。達成感。どや顔で耳鼻科の画像検索をかけてみる。

 全くウサギの看板出てきませんでしたけどね。ゾウばっかり。そうか。耳と鼻。そうか。

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