パワハラでうつ病にさせられた際の経験をまとめてみました──総括

あの時、欲しかったのは肯定の言葉。
あの時、私を壊したのは否定の言葉。
ここではパワハラでうつ病にされたサラリーマンが、その際に経験したことをまとめとして集約し、ご紹介します。
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メンタルヘルス検定試験やストレスチェック制度が実際の現場では何に使われているのか
形だけのメンタルヘルス検定。それすら何年も受からない管理者たち。一体それに何の意味があるのだろうか。
仕方がないのかもしれません。検定を合格したいという動機が、メンタルヘルスケアを学ぶためではなく、メンタルヘルス検定試験合格というステータス、ひいては自身の評価のために受験しているのですから。そもそもの目的が違うのです。
そこへ来てさらに“受からない”のです。正直、そんな難しい検定試験ではありません。ですが、一企業の管理者が“受からない”のです。覚える気すらないとしか思えません。これではメンタル不調者が減ることなんて、夢のまた夢です。
何故、ここ数年これほどまでにメンタルヘルスケアがクローズアップされているのか。何故、ストレスチェック制度が義務化されているのか。
発生を未然に防ぐことが本来の目的です。ですが、実際には発生します。当たり前です。覚える気がない管理者には、防ぐ気なんて当然ありません。
そして制度は、網を張り、発生したことを早めに察知して、表に出ないうちに処理してしまう。そのために利用されているのです。正に、臭いものに蓋、という状況です。
メンタル不調を感じた場合、まずは誰に相談するべきなのか
相談相手の人選(世間一般での認識)
ストレスを相談できる相手
厚生労働省(平成30年). 労働安全衛生調査(実態調査)
「家族・友人」が 79.6% [平成 29 年調査 85.3%]
「上司・同僚」が 77.5% [同 77.1%]
実際に相談した相手
「家族・友人」が 76.3% [同 81.7%]
「上司・同僚」が 69.7% [同 71.0%]
【労働者調査】
1 仕事や職業生活における不安やストレスに関する事項
(1) 仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスについて相談できる人の有無等
注目したいのは、相談できると「思っている」相手の選択。
- 上司・同僚を選ぶ方が家族・友人を選ぶ方と比較的近い割合で居ること
- 家族・友人を選ぶ割合が減っていること
- 上司・同僚を選ぶ割合が増えていること
そして実際に相談した相手は、どうかというと。
- 家族・友人を選ぶ割合が減っていること
- 上司・同僚を選ぶ割合も減っていること
- 減少率が「家族・友人 > 上司・同僚」であること
これ、実は危険な傾向です。
悪いことは言わない。相談先は家族にしておいた方がいい。ご家族に相談できないなら、黙ってその職場を去った方がいい。上司・同僚は相談相手として成立しません。
実際に上司・同僚へ相談した場合の事例
多くの同僚に相談しました。上司に相談しました。様々な立場の方に助けを求めました。所詮、他人事でした。
大多数は「大変でしたね」「運が悪かったね」で終わります。結局のところ、他人の人生です。昼休みに読むヤフーニュース程度にしか感じません。そんなもんです。
「またやり直せるさ」と言われたこともあります。俺の人生はゲームか何かかな。そうだとすると、ラスボス手前のセーブデータを他人に消されて、もう一度最初からやらされている気分ですが。やり直せますかね。強くてニューゲームでもありませんし、周りの皆はセーブデータそのままの進行状況です。それでももう一度、やり直せますかね。
ある同僚は親身に相談に乗ってくれました。ある上司は味方になってくれました。中にはそういう人もいます。しかし、彼らもサラリーマンです。自らの立場を犠牲にしてまでサポートはしてくれません。最後の最後には、必ず権力に屈します。必ずです。
何故か? 従業員の生殺与奪権を握る管理者、経営サイドに正しい理解がないからです。
- 忙しいのにドロップアウトしやがって、気合が足りない
- 働いてないのに人件費だけかかりやがる
- 俺の組織からうつ病が出たなんて知れたら経歴に傷がつく
- 何もしてないのに勝手にうつ病になった
そんなこと思っているうちは、貴方の組織からメンタル不調者は絶対に無くなりません。絶対にです。
理解しなければいけない。うつは病気です。疲れとかそういうのと一緒にしていませんか。うつは、病気です。
見た目は少し虚ろで元気がないくらいに感じるかも知れない。それは健康面だけの話しです。こと会社組織内の立場という点に於いては、大怪我ないし死亡事故に相当します。それは働き盛りの人間にとって、社会的な死を意味する、ということを認識ください。
どうか、正しいメンタルヘルスケアの知識と理解を。
当ブログにおけるメンタルヘルス上での被災者のスペックと環境
- 年齢:40代
- 職業:事務系サラリーマン
- 役職:管理職(給与体系は一般職)→最終的に役職カット
「期待しているよ」
よく言われました。何度も言われました。一般職の給料でありながら、職務内容が管理職だったのはその一環。
でもね、形として納得する結果が得られなければ、人は動かないのですよ。しまいには心まで動かなくされちゃってね。誰が上手いこと言えと言った。
「一般職の給料だったら残業代出るからいいじゃないか」
これもよく言われました。何度となく言われました。
でもね、管理職の給料より、大分下でしたよね。管理職の給与体系=残業カット、とだけ考えている人が多すぎる。しまいには役職までカットされちゃってね。誰が上手いこと言えと言った。
労働と対価のつり合いが取れていれば、何も言わないと思うんです。ぶら下げた人参を追うのには限界があります。きちんと与えてあげてください、人参を。
人によってはこの話、デモデモダッテ、と捉えられてしまうことでしょう。
そういう人にはいつも問いかけます。
「あなたなら出来ますか?」
そういう人達はいつも同じ回答をします。
「俺じゃないから」「俺だったらもっとこうする」「俺だったら」「俺だったら」「俺」「俺」
そう、人の話を最初から聞く気がないんです。だからこの話も、ぶら下げられた人参。追いかけても疲れるだけだから、早々に切り上げた方がいいです。
必要なのは、傾聴の姿勢。
メンタルがどうとか以前の問題ですね。
これが出来ていないからこそ、金貰ってるんだから我慢しろとか言えるんです。
これが出来ていないからこそ、人を追い込んで平気な顔が出来るんです。
これが出来ていないからこそ、人を壊しておいて自分の立場だけを主張するんです。
もう一度言います。
管理者のメンタルヘルスケアに必要なのは、傾聴の姿勢。本当、これだけです。
当ブログにおけるメンタルヘルス上で被災した時の配偶者のスペックと対応
- 年齢:30代
- 職業:福祉関連
- 役職:パートタイマー
運が良かった、としか言いようがない。
妻は福祉への理解が深く、メンタル不調に対する知識も正しく持ち合わせていました。
何一つ否定されませんでした。
本人は「何もしなかった」と言いますが、そんなことはありません。「何もしない」をしてくれたのです。
- 話しを最後まで聞く
- 本人から意志を主張してくるまで待つ
- 一切否定しない
妻がしてくれた「何もしない」は以上です。これらをベースに本人の意思が出てきたら、それを立てた上で背中を押してくれました。
よき理解者、という表現が一番合うのかもしれませんね。
さらに、施設での勤務経験から薬との付き合い方に慣れていました。半分にしてみる等、薬とのつき合い方についてのアドバイスがもらえたことも良かった。
知識として持ち合わせてはいました。しかし冷静になった今ならまだしもフルスロットルで混乱している時に、そんな慣れない発想は出て来ません。慌てた劇場版ドラえもんがポケットから道具が出せなくなるあれは真理です。
度重なる不運の中で唯一にして最大の幸運は、最高の理解者が身近にいたこと、だと思っています。
大切なご家族をメンタルヘルス不調から守るために大切ないくつかのこと
それでも、あなたのご家族の勤めている組織は、全くメンタルヘルスに理解がないかも知れない。あなたの大切なご家族が、知らぬ間に壊されてしまうかもしれない。
そんなことがないよう、よき理解者であってください。もし不幸なことにそうなってしまっても、よき理解者であってください。
そんなあなたに、この言葉を捧げます。
- 大丈夫
- ゆっくりでいいから
この2言が救いになります。そしてご家族のことを信じてあげてください。
ことメンタルヘルスに関して、ナチュラルによき理解者となり得るのは、鬱抜けした人だけだと思っています。同じ経験をした人以外、誰も信じてくれないからです。だから、信じてあげてください。大丈夫だと。ゆっくりでいいからと。
あの時、欲しかったのは肯定の言葉。
あの時、私を壊したのは否定の言葉。
最後まで話しを聞いてあげてください。肯定してあげてください。そして、背中を押してあげてください。
大切なご家族を守るために。

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